60代も後半になりました。
 若いころは、仕事や子育てに追われ、毎日を無我夢中で過ごしてきたように思います。
 朝から晩まで仕事をして、休日には家族の用事を済ませる。気がつけば、あっという間に一週間が過ぎていました。
 そんな私たちも、今では夫婦で過ごす時間がずいぶん増えました。
 「これから、どんなふうに暮らしていこうか」
 そんな話をする機会も多くなりました。
 豪華な旅行をしたいわけでも、大きな家に住みたいわけでもありません。
 毎日の暮らしの中に、小さな楽しみをたくさん見つけたい。
 それが、今の私たち夫婦の共通した思いです。

 私たち夫婦は、散歩が好きです。
 車を持たない生活なので、移動は電車やバス、そして自分たちの足が中心です。
 でも、これが意外と楽しいのです。
 いつもと違う道を歩いてみると、思いがけない場所に小さな公園があったり、素敵な喫茶店を見つけたり。
 春には桜、夏には青空、秋には色づいた木々、冬には澄んだ空気。
 同じ道でも、季節によって景色が変わります。
 散歩の途中で、妻が「あのお店、ちょっと寄ってみない?」と言えば、予定変更です。
 そして、気がつけば散歩よりも喫茶店で過ごす時間のほうが長くなっていたりします。
 それもまた、私たちらしい散歩の楽しみ方です。
 目的地がなくても楽しめる。そんな時間が、今はとても贅沢に感じられます。

 映画鑑賞も、夫婦共通の楽しみです。
 映画館の大きなスクリーンで観る作品には、自宅のテレビとは違った魅力があります。
 感動する映画、思わず笑ってしまう映画、観終わってから考え込んでしまう映画。
 映画の世界に入り込んでいる間は、日常のあれこれを忘れられます。
 そして、もうひとつの楽しみが、映画を観終わったあとの夫婦の会話です。
 「今日の映画、どうだった?」
 「私は面白かったけど、あなたは?」
 同じ映画を観ても、感想が違うことがあります。
 妻が感動した場面を、私はそれほど印象に残っていなかったり、逆に私が面白いと思ったところを妻は覚えていなかったり。
 長年一緒に暮らしていても、感じ方はそれぞれです。
 そんな違いを発見するのも、映画の楽しさかもしれません。

 私たち夫婦は、食べることも大好きです。
 といっても、高級レストランに頻繁に出かけるわけではありません。
 散歩の途中で見つけた小さな食堂や、気になっていた喫茶店。
 そんな場所で、おいしいものに出会えたときは、それだけで幸せな気分になります。
 「ここのランチ、おいしいね」
 「今度は違うメニューを食べてみようか」
 そんな何気ない会話が楽しいのです。
 若いころは、食事をゆっくり楽しむ余裕がなかった時期もありました。
 でも今は、急ぐ必要もありません。
 おいしい料理を味わいながら、ゆっくり会話をする。
 特別なごちそうでなくても、一緒に食べる相手がいて、おいしいねと言い合える。それだけで十分な幸せです。

 私たちの楽しみのひとつに、株式投資があります。
 もちろん、投資には値下がりのリスクもありますから、無理は禁物です。
 それでも、世の中の動きや企業のニュースを調べたり、これから成長しそうな分野について考えたりすることは、なかなか面白いものです。
 新聞やニュースを見る目も変わりました。
 新しい技術が登場すれば、「これはどんな会社が関係しているのだろう」と気になります。
 経済のニュースも、以前より身近に感じられるようになりました。
 もっとも、株価は思いどおりには動きません。
 「今日は上がったね」
 「昨日はよかったのに、今日は下がっているね」
 そんな日もあります。
 喜んだり、少しがっかりしたり。
 それでも、生活に必要なお金とは区別し、無理のない範囲で楽しむことが大切だと思っています。
 株式投資は、お金を増やすことだけでなく、社会の変化に関心を持ち続けるきっかけにもなっています。

 そして、私たち夫婦にとって大きな楽しみのひとつが、孫の成長です。
 小学生になった孫は、会うたびに新しいことを覚え、少しずつ成長しています。
 以前は一緒に遊んであげるつもりだったのに、最近ではこちらが教えてもらうことも増えてきました。
 今どきの遊びや流行しているもの、学校での出来事。
 孫の話を聞いていると、知らなかった世界が次々と広がります。
 時には、その元気についていくのが大変なこともあります。
 それでも、一緒に笑ったり、何かを作ったり、散歩に出かけたりする時間は、かけがえのないものです。
 孫が大きくなるにつれて、今のように一緒に過ごせる時間も少しずつ変わっていくのでしょう。
 だからこそ、今この瞬間を大切にしたいと思います。
 孫の成長を見守ることは、私たち自身が新しい発見をすることでもあるのです。

 仕事を離れたら、のんびり暮らす。
 以前は、そんな老後を想像していました。
 でも、実際に60代後半になってみると、まだまだやってみたいことがあります。
 そのひとつが、個人事業を充実させることです。
 これまでの仕事で培ってきた経験や知識を、これからの人生でも誰かの役に立てられたら。
 そんな思いで、新しい取り組みを続けています。
 そして、夫婦で始めたこのブログも、そのひとつです。
 パソコンやスマートフォンの操作に戸惑うこともあります。
 「さっきまでできていたのに、どうして?」
 そんなことは日常茶飯事です。
 それでも、少しずつ覚えて、できなかったことができるようになるとうれしいものです。
 若いころのように何でもすぐに覚えられるわけではありませんが、時間をかければ何とかなることもあります。
 60代後半になっても、新しいことに挑戦できる。それ自体が、人生の楽しみなのかもしれません。

 最近、夫婦でよく話すことがあります。
 「やっぱり、健康が一番だね」
 若いころは、健康であることを当たり前のように感じていました。
 でも、年齢を重ねるにつれて、そのありがたさが少しずつ分かるようになりました。
 散歩を楽しむのも、映画を観に行くのも、おいしいものを食べに行くのも、元気であってこそです。
 だからといって、健康のために何もかも我慢する暮らしでは、少し寂しい気がします。
 好きなものを適度に食べ、無理のない範囲で体を動かし、よく笑い、よく眠る。
 そんな自然な暮らしを大切にしたいと思っています。
 健康づくりは、何かを我慢するためではなく、これからも好きなことを楽しむため。
 そう考えると、毎日の散歩も少し楽しくなります。

 私たちは現在、賃貸住宅で暮らしています。
 車も所有していません。
 若いころには、持ち家や車を持つことが、ひとつの生活の目標だった時代もありました。
 でも、今は少し考え方が変わりました。
 家を所有していなくても、居心地のよい暮らしはできます。
 車がなくても、電車やバスを利用すれば、いろいろな場所へ出かけられます。
 もちろん、不便を感じることもあります。
 それでも、持ち物を増やすことより、日々の経験や楽しみを増やしていきたい。
 そんな気持ちが強くなりました。
 大切なのは、何を持っているかではなく、どんな毎日を過ごしているか。
 60代後半になった今、そんなふうに感じています。

 人生100年時代といわれます。
 とはいえ、これから何年、元気に動き回れるのかは誰にも分かりません。
 だからこそ、私たちは「いつか楽しもう」ではなく、「今を楽しもう」と思っています。
 散歩をして、映画を観て、おいしいものを食べる。
 孫の成長を喜び、新しい仕事に挑戦し、ときには株価の動きに一喜一憂する。
 そんな何気ない毎日の積み重ねが、私たちの暮らしを豊かにしてくれています。
 夫婦といっても、考え方も好みも同じではありません。
 時には意見が合わないこともあります。
 でも、それも長年連れ添ってきた夫婦ならではの面白さでしょう。
 これから先、年齢とともにできなくなることも出てくるかもしれません。
 それでも、その時々に合った新しい楽しみを見つけていきたいと思っています。
 60代後半。人生は、まだまだこれから。
 大きな夢でなくてもいい。
 明日、ちょっと楽しみに思えることがひとつあれば、それだけで毎日は明るくなります。
 さて、次の休日はどこを散歩しましょうか。
 それとも、久しぶりに映画でも観に行きましょうか。
 そんな相談をしながら、これからも夫婦で、ゆっくり楽しく歩いていきたいと思います。

 皆さんは、毎日の暮らしの中にどんな楽しみを見つけていますか。
 新しい趣味を始めるのも素敵ですし、昔から好きだったことをもう一度楽しむのもいいですね。
 60代からの人生、お互いに自分らしく、楽しみながら過ごしていきたいものですね。