はじめに
60代になると、住まいに求めるものも少しずつ変わってきます。若い頃はそれほど気にならなかった段差や収納の位置、家事の動線などが、いつの間にか小さな負担になっていることもあります。だからといって、家全体を大きく変える必要はありません。毎日よく使う場所を少し見直すだけでも、暮らしはずいぶん快適になります。
今回は、私たちが特に見直しておきたいと感じる「玄関」「キッチン」「寝室・ベッドまわり」の3か所について考えてみます。
① 玄関は「出入りしやすさ」を優先する
玄関は、毎日必ず使う場所です。
靴を履いたり脱いだり、荷物を持ったまま出入りしたりと、意外に動作が多い場所でもあります。まず見直したいのは、足元です。普段あまり履かない靴まで出しっぱなしになっていると、つまずく原因になります。よく履く靴だけを出して、玄関の床をできるだけすっきりさせておくと安心です。
また、買い物から帰ったときにバッグや荷物を一時的に置ける場所があると、動作がずいぶんラクになります。
必要であれば、靴を履くときに腰掛けられる椅子やベンチを置くのも一つの方法です。
玄関は、家の中と外をつなぐ場所です。毎日の出入りが少しラクになるだけでも、暮らしの負担は減らせます。
② キッチンは「取りやすさ」を優先する
キッチンは、毎日のように使う場所です。だからこそ、少しの使いにくさでも、積み重なると大きな負担になります。まず見直したいのは、よく使う物の置き場所です。鍋やフライパン、調味料、食器などを、毎回しゃがんだり背伸びしたりしないと取れない場所に置いていると、それだけで疲れやすくなります。毎日よく使う物は、できるだけ腰から肩くらいまでの高さにまとめておくと使いやすくなります。
また、重い物は無理に高い所へ置かず、取り出しやすい位置に置いておく方が安心です。作業台の上に物を置きすぎないことも大切です。使う場所がすっきりしていると、料理もしやすく、片づけもラクになります。キッチンは、「きれいに見せること」よりも、「無理なく使えること」を優先していい場所だと思います。
③ 寝室・ベッドまわりは「安全と使いやすさ」を意識する
寝室は、1日の始まりと終わりを過ごす大切な場所です。特に夜中に起きたときは、足元が見えにくく、思わぬところでつまずくことがあります。
まず意識したいのは、ベッドのまわりに物を置きすぎないことです。床にバッグや衣類、小物などが置かれていると、暗い中では気づきにくくなります。できるだけ足元をすっきりさせておくと安心です。
また、照明のスイッチやスマートフォン、眼鏡などは、寝たままでも手が届きやすい位置に置いておくと便利です。夜中に起きたときにすぐ足元を照らせる小さなライトがあるのも安心につながります。
寝室では、見た目の整い方よりも、「すぐ手に取れる」、「つまずきにくい」、「無理な姿勢をしなくて済む」という使いやすさを優先してよいと思います。
毎日使う場所だからこそ、少しの工夫が安心につながります。
無理なく、少しずつ見直していく
家の中を全部いっぺんに変える必要はありません。
玄関、キッチン、寝室。毎日よく使う場所を、一つずつ見直していけば十分です。
「ここは少し使いにくいな」、「もう少し取りやすくできないかな」、「夜に歩くとき、少し不安だな」そんな小さな違和感に気づくことが、暮らしを整えるきっかけになります。
これからの住まいは、見た目のきれいさだけではなく、無理なく、安全に、気持ちよく過ごせることが大切だと思います。私たちも、今の暮らしに合わせて、少しずつ見直していきたいと思っています。
最後に、まずは今日、家の中で「少し使いにくいな」と感じている場所を一つ見つけるところから始めてみませんか。