はじめに

金曜日の夜、小学4年生の孫がわが家にやってきます。娘が車で送ってくれて、日曜日の夜に迎えに来るまでの二晩、夫婦と孫の3人暮らしが始まります。

特別なイベントがあるわけではありません。家で遊んだり、買い物に行ったり、勉強したり、掃除をしたりごくありふれた週末です。

けれど、そんな何気ない時間の中に、孫から教えられることが驚くほどたくさん詰まっています。

孫の「好き」は、次々に広がっていく

いま孫が夢中になっているのは、ボンボンドロップシール集めです。気に入ったものを見つけると、その場でタブレットを開いて調べ始めたり、近くのスーパーへ一緒に探しに行ったりします。

 「これ、どこで売ってるのかな」
 「ほかにはどんな種類があるんだろう」

 そこから、ちいかわグッズに興味が広がったり、また別のものに関心が移ったり――好奇心は止まりません。

 私たちの世代なら「今度調べよう」で終わっていたことを、孫はその場ですぐ確かめます。この身軽さと行動の早さには、いつも感心させられます。

YouTubeは「見るもの」ではなく「作るヒント」

孫にとってYouTubeは、ただ眺めるものではないようです。

 「これ、作ってみたい」
 「こうすればできそう」

 そう思うと、スーパーの100円ショップなどで紙や文房具を買ってきて、すぐに手を動かし始めます。うまくいかなければ、また動画を見直したり、やり方を変えたりします。

 完成させることよりも、「やってみたい」と思った瞬間に動き出すこと自体が、孫にとっては楽しいのだと思います。

 大人になると、つい「時間がない」「失敗したら面倒」「今度でいいか」と考えてしまいます。孫を見ていると、まず手を動かしてみることの楽しさを思い出させられます。

遊ぶだけでなく、家のこともよく手伝う

週末は遊んでばかりではありません。掃除や窓拭きをしたり、買い物にも付き合ってくれたりします。

 「これ、お願いできる?」

 そう頼むと、意外なほど張り切ってくれることがあります。もちろん、気分が乗らない日もありますが、自分でできることが増えていくのは、本人もうれしそうです。

 私たちも、つい何でも先回りしてやってしまいがちですが、できそうなことは一緒にやるよう心がけています。

「勉強も『一緒に考える時間』

学校の勉強を見ることもあります。昔と今とでは教え方がずいぶん違い、「昔はこう習ったんだけどな」と戸惑うこともしばしばです。

 逆に、孫から説明を受けて、「なるほど、今はそう考えるのか」と教えられることもあります。

 祖父母が何でも教える必要はなく、分からなければ一緒に調べればいい――そう思えるようになりました。

孫と過ごして気づいた、60代の私たちが忘れていたこと

 気になったら調べる。
 面白そうならやってみる。
 失敗しても、またやる。
 好きなものを集め、作りたいものを作る。

 子どもの頃は当たり前だったことを、大人になるにつれて「役に立つか」「失敗しないか」を先に考えるようになり、いつの間にか手放していたのかもしれません。

 でも本当は、何歳になっても、

 「ちょっと面白そうだから、やってみよう」

 それくらいでいいのかもしれません。

週末が、私たち夫婦にもいい刺激になっている

金曜日の夜に孫が来ると、家の空気が少し変わります。会話が増え、買い物に行く場所も変わり、知らなかったキャラクターの名前も少しずつ覚えていきます。

 日曜日の夜、娘が迎えに来て孫が帰ると、家が急に静かになります。

 ほっとする気持ちもありますが、やっぱり少し寂しい。

 そして次の週末には、

 「今度は何を持ってくるのかな」

 と、もう楽しみにしている自分がいます。

おわりに

 孫と過ごす時間は、私たちが何かを教えてあげる時間だと思っていました。

 でも実際には、教えられているのは私たちの方なのかもしれません。

 好奇心を持つこと。
 やってみること。
 好きなものを楽しむこと。

 60代になった今だからこそ、そんな気持ちをもう一度大切にしたいと思っています。

 孫との週末は、私たち夫婦にとって、小さな刺激をもらえる、かけがえのない時間になっています。

 あと何年、こうして毎週末来てくれるのかな。

 そんなことを時々思いながら、今この時間を大切にしていきたいと思っています。